ネックとなるのは…
外資の到来によるリスクヘッジも法律で対策できており、各クラブは「名前」や「シンボル」「クエスト」「ブランド」「ニックネーム」「歌および色」「他の自治体への本部」の変更に対する拒否権を持っている。これによって従来の地域密着型のクラブ経営から道を逸らすことなく成長が見込める。
高いハードルがあるとすれば「治安」の問題だろう。圧倒的な格差社会で知られるブラジルは現在も殺人事件の件数が世界トップクラスと犯罪率が高く、サッカー選手も例外ではない。罪を犯した場所はそれぞれ欧州だが、元ブラジル代表のダニ・アウベスやロビーニョも性犯罪で収監された。
この問題を改善の方向に向かわせるには、国家の根幹である「教育」に力を入れていくしかない。すでにブラジル政府は、国立大学の学費無償化などの政策を実施しているが、経済協力開発機構(OECD)の発表によると、高卒資格を持たない成人の割合は2023年に27%を記録しており、OECDの平均の13%を大きく上回っている。
貧困層の家庭が多く、学校に通うことよりも、一家を養うために働くことを優先する若者も多いそうだ。
こういった課題がある中で、解決に向けた手助けになることをサッカークラブやリーグが主体となって行うべきだろう。外資の投入でヨーロッパの知見が入れば、サッカーと教育の距離を近づけることができるかもしれない。
例えばイングランドのプレミアリーグでは、プレミアリーグ・チャリタブル・ファンド(Premier League Charitable Fund)を通して、プレミアリーグ・プライマリー・スターズ(Premier League Primary Stars)という7歳から11歳向けの教育カリキュラムをイングランドとウェールズの小学生に向けて無償で提供している。
このプログラムには英語や数学、体育、保健といった一般教育に加えて、自尊心の構築やジェンダーの固定観念への対処、インターネットの安全な使用などのレッスンや教師向けのプログラムなども含まれている。
プレミアリーグの発表によると95%の教師が、プレミアリーグ・プライマリー・スターズが学校コミュニティにおいて良い影響を与えていると評価しているそうだ。
こういった事例をブラジル・セリエAが参考にするかどうかはわからないが、リーグとして欧州に負けないレベルで発展するには、同時に国としての成長も必須だ。今後どのようにブラジルサッカー界が発展していくのかを長期的な視点から見守っていきたい。
(文:安洋一郎)
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