チームの経営陣に大物が参画する可能性も
ブラジル・セリエAの急速な成長を含めて、サッカー界は「欧州一強」の時代から変わりつつある。
長年にわたり世界最高の選手として君臨し続けたリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドもヨーロッパを離れ、前者はMLS(メジャーリーグ・サッカー)、後者はサウジアラビアに活躍の場を移した。
ただ、ブラジルがアメリカやサウジアラビアと異なるのは、サッカー文化が成熟していること。ほとんどのクラブに100年以上の歴史があり、人々の生活にサッカーは欠かせないものとなっている。
先述した通り、歴史的にファンが主体となって各クラブを経営していたことからもわかるように、人々とクラブの距離感が近い。収容人数が6万人を超えるスタジアムを本拠地とするクラブが1部所属だけで7つもあり、ビッグマッチでは7万人以上のサポーターがスタンドを埋め尽くす圧巻の光景が広がる。
筆者はこの国民に染みついているサッカー文化に、欧州仕様の最新のクラブ経営が加わることで、劇的な成長が見込まれると推測している。
ノッティンガム・フォレストのオーナーであるエヴァンゲロス・マリナキスは、ヴァスコ・ダ・ガマの買収にあたって昨年11月までアーセナルでスポーツ・ディレクターを務めたエドゥを登用することを検討しているそうだ。
彼のような人物がブラジルでクラブ運営に携わり、仮に成功を収めるとなれば、他のクラブも真似をして、一気にリーグのレベルが上がる可能性がある。これまでの旧時代的な経営スタイルからの変化を踏まえると、その伸びしろは無限大だ。