樋口雄太がお手本にしているは“あの選手”
FC東京戦で柴崎をベンチスタートにしたのを見ても分かる通り、今は樋口がファーストチョイスになっている。本人もそうなるべく、鬼木監督の川崎フロンターレ時代の心臓だった大島僚太の動画を熱心にチェック。少しでも彼に近づこうと努力しているという。
「オニさんはチームの中心として周りを動かしていくことをボランチに求めている。それを本当に体現できたら、もっと選手として成長していけるんじゃないかなと思いながら取り組んでいます」
「大島選手はスピードを上げすぎないというか、脱力しながらプレーすることに長けている。それによって見えなかったものが見えてくるというか、新たな発見につながってくる。今、すごくそういう感覚をつかんできている実感があります。試行錯誤しながら成功体験を増やして、自信につなげる作業をしていきたいですね」
樋口はこう語っていたが、確かに大島は緩急をつけてゲームの流れを変化させることに秀でている。近年の鹿島は強度を前面に押し出す傾向が強く、リズムを変えられる人材が少なかった。
しかし、かつての小笠原満男(現アカデミー・テクニカル・アドバイザー)や野沢拓也のように臨機応変にギアをアップダウンできるような選手がいれば、もっと多彩な戦い方ができるはず。樋口がそこに気づき、自身を進化させようとしているのは朗報である。鬼木監督との出会いによって、鹿島4年目の28歳のMFは大きな成長を遂げそうだ。
「4連勝でも驕りはないですし、本当に勝ち続けることの重要性をオニさんも言っている。チームの1人ひとりが勝ちたいっていう気持ちを表現していることが今の連勝の要因かなと感じます。それを続けるために、自分が人を動かしていく作業がより大事になってくると思っています」と背番号14は自らのレベルアップを誓った。
鹿島の新・看板ボランチのさらなる成長が鬼木・鹿島の成否を大きく左右する…。そう言っても過言ではないだけに、今後の一挙手一投足がより一層、注目されるところだ。
(取材・文:元川悦子)
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