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Jリーグ 7日前

柏レイソル躍進の理由を分析する【1】熊坂光希の地味な役回り、原川力の問題解決。配置の変化が持つ意味【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

この問題を解決に導いたのが原川力。熊坂光希は地味な役回りだが…

 最終ラインの枚数が変化するなかで、熊坂光希と原川力は試合を重ねるごとにお互いのタスクを区別するようになっていきました、熊坂はエクストラ・センターバックとして振る舞うこともあれば、アンカーとして中央の基準点としてプレーすることもあります。原川は熊坂の横でプレーすることもあれば、左のインサイドハーフとして振る舞うことも多くなっています。

 大切なことは、選手の役割の変化や移動によって、配置が一定でないことです。配置が一定であると、プレーそのものは安定しますが、相手からしても対策が行いやすいデメリットが存在してしまいます。

 熊坂の活躍はボール保持だけでなく、ボール非保持で獅子奮迅の活躍をしています。[5-2-3]で守るため、どうしても柏のセントラルハーフの活動エリアは広くなってしまいます。しかし、熊坂は平気な顔で最後まで相手からボールを奪い続けます。センターバックよりも大きな熊坂が、ときには対戦チームのデザインされたロングボールを跳ね返す役回りとしても機能しています。

 ボール保持ではかなり地味な役回りとなっていますが、ボール保持率を上げ、ビルドアップを安定させ、相手にハイプレッシングを諦めさせることを目指したプレーを忠実にできる熊坂は、柏に欠かせない選手となりました。

 相手を押し込んだときの柏レイソルは、火力を上げるために後方からの攻撃参加を行います。3バックから相手陣地に侵入していく選手は原田です。3バックの片割れが攻撃参加することは世界中で行われていますが、リカルド・ロドリゲスも採用したようです。原田の攻撃性能は凄まじく、普通はウイングバックの質で攻撃のサイドに偏りができることはありますが、原田亘の後方支援によって、右サイドに攻撃が偏りすぎてしまうほどでした。

 この問題を解決に導いた選手が原川力です。原田ほどの攻撃参加をチームのバランス的にもすることのできない杉岡の代わりに、セレッソ大阪戦から原川力が左サイドの後方支援を担当することによって、左サイドの攻撃も段々と活性化していきます。

 原川がセントラルハーフの仕事ではなく、インサイドハーフのような仕事に集中できるようになっていった経緯は熊坂の独り立ちにあります。欠かせない熊坂。大外、内側、後方支援の3枚が揃ったときに柏レイソルのサイド攻撃は破壊力を増していきます。ちなみに、小屋松知哉や久保藤次郎は地味に内側と大外の立ち位置を移動することができることも、今後はキーになってくるかもしれません。
 

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