3バックと「もう1人のセンターバック」
実は柏の泣き所であったゴールキーパーに、アルビレックス新潟から小島亨介を獲得します。相手のプレッシングが来てもまるで慌てることなく判断を間違わない小島の登場によって、柏は自陣の深い位置でのボール保持を行うことができるようになりました。
自陣の深いエリアをビルドアップで使えることで、相手の走る量を増やすこともできますし、相手の間延びに繋がることもあります。相手を自陣に誘き出してスペースを作り、一気に攻撃を加速することは浦和レッズとの試合の垣田裕暉のゴールまでの流れがその具体例になるのではないでしょうか。
柏は3バックで試合に臨んでいます。3バックの陣容は、原田亘、古賀太陽、杉岡大暉です。相手からすれば3バックに対して、どのように攻撃方向を誘導するか、前進させないか、マンマークで対応するかなどなど、対策を考えて試合に臨みます。
今季の柏はボール保持で試合をコントロールすることを重視しているので、安全にボールを前進させられる選択肢がなければバックパスを選択することが多くなっています。つまり、小島の出番が必然と増えていく流れとなります。
小島は繋げるだけでなく、エクストラ・センターバックとしても振る舞うことができます。ここが超重要で、マンチェスター・シティやチェルシーも採用している策です。ゴール前でボールを受けるのでなく、まるで4バックの左センターバックの立ち位置で小島はプレーすることができます。
この小島の立ち位置の変化によって、柏は3バックと4バックを使い分けることができます。この恩恵を受けるのが杉岡と原田で、3バックの立ち位置から4バックの立ち位置へと変化することで、相手にどこまでついていくかの迷いを生じさせることができます。小島まで追いかけ回すことはハイプレッシングを志向するチームでもなかなか難儀な決断となります。疲労のわりにボールを奪い切れる根拠も保証もないからです。