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コラム 14時間前

マンUは時代に乗り遅れている。“アカデミーを大切に”の文化が原因? 変化するトレンドとの間に生まれた深刻なズレ【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ローンプレイヤー・マネージャーの重要性

 ユナイテッドは2019年からローンプレイヤー・マネージャーという職を設けて、それと同時に長年の功労者であるレス・パリー氏が同職に就いた。しかし、彼の本職は理学療法士であり、ディレクター職の内部昇格と同じく適材適所の人事とは言えなかった。

 アマド・ディアロのサンダーランド、ジェームズ・ガーナーのノッティンガム・フォレストへのローン移籍を成功させた例があるものの、上手くいっていないパターンも多かったのも事実だ。先述した若手選手の安価での売却の一因となっていたと予想される。

 今季に関してはアカデミー出身の若手選手で他の1部リーグ、もしくは価値の上がりやすいチャンピオンシップ(イングランド2部相当)へのローン移籍が“1例”もなく、INEOSのジム・ラトクリフ卿の改革の一環として昨年10月に同職を解任された。

 当時スポーツ・ディレクターを務めていたダン・アシュワースが後任を探す職務に取り掛かっていたそうだが、彼もラトクリフ卿と考えが合わずに12月に解任となった。

 そのため現在はローンプレイヤー・マネージャーが空席となっている。

 従来のローンプレイヤー・マネージャーはアカデミーの試合を視察し、その上でいくつかのローン移籍先候補の中からその選手のプレースタイルに合うチームを選択する。ローン移籍している選手とは各試合後にコミュニケーションを取り、フィードバックを行うなど、クラブと武者修行中の選手を結びつける役割を担う。

 ここに適材適所の人事ができるかによって、トップチームの戦力化できなかったアカデミー出身の選手の退団形式が変わってくるだろう。また、移籍先での成長が見込めれば、クラブが大切にしているアカデミー出身者のトップチームへの定着の可能性も高まる。

 ユナイテッドはクラブとしてピッチ内外であらゆる課題を抱えているが、まずは最初に編成面の責任を担うフロントが安定しなければ現場にも良い流れは向かわない。ローンプレイヤー・マネージャーを筆頭に、土台が固まりきっていない部署に迅速な対応をして、ようやくクラブ再建のスタートラインに立つことができるだろう。

(文:安洋一郎)

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【了】
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