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コラム 14時間前

マンUは時代に乗り遅れている。“アカデミーを大切に”の文化が原因? 変化するトレンドとの間に生まれた深刻なズレ【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

10年以上遅れている古い体制

 従来のフットボールクラブはフットボール・ディレクターやスポーツ・ディレクターといった「ディレクター職」についた人物が編成の責任を担う。

 ディレクター職を設けるのが10年以上前からスタンダードになっている中で、ユナイテッドが初めて同職を設立したのはコロナ禍の2021年3月である。

 あまりに遅すぎる上に、フットボール・ディレクターに就任したジョン・マータフ氏も、テクニカル・ディレクターに就任したダレン・フレッチャー氏も内部昇格だったため、他クラブで同職を務めた実績はない。そのため大幅な改善とはならず、先述した通り、INEOSがクラブ経営に参加してからスペシャリストを招聘し、ようやくディレクター職が機能し始めた。

 では、それまでは誰がクラブの編成の責任を担っていたのだろうか。2013年からCEOを務めていたエド・ウッドワードである。彼はフットボールのスペシャリストではない。元々はグレイザー一家のクラブ買収に助言をした会計士だ。

 確かにウッドワードは高額のスポンサー契約を締結するなど、ビジネス面では一定の成果をあげた。しかし、肝心のフットボール面では失敗を続けた。特に移籍市場での振る舞いはあまりに拙く、ポール・ポグバを筆頭にほとんどの選手を市場価値以上の価格で獲得した一方で、放出した選手たちは市場価値を下回る額での売却が多かった。

 市場価値を下回る額での売却が多発したのは、交渉下手であると同時に、ローン移籍先で選手の価値をあまり上げることができていないためと推測している。

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