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コラム 14時間前

マンUは時代に乗り遅れている。“アカデミーを大切に”の文化が原因? 変化するトレンドとの間に生まれた深刻なズレ【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

戦力化できなかった選手たちの売却に苦戦

 2024年夏だけでショラ・ショレティレ(→PAOK)とオマリ・フォーソン(→モンツァ)、チャーリー・マクニール(→シェフィールド・ウェンズデイ)の3選手が契約満了に伴い、フリーでチームを去った。

 ショレティレは2020/21シーズンにクラブ史上最年少(当時17歳23日)で欧州カップ戦出場を果たし、フォーソンは昨季のプレミアリーグデビュー戦でアシスト、マクニールは2020/21シーズンにU-18プレミアリーグで得点王に輝くなど有望株として知られていた。

 彼らの半年前には現アーセナルのマルティン・ウーデゴールと同じく15歳でノルウェーリーグデビューしていたイサク・ハンセン=アーロンが100万ユーロ(約1.6億円)の移籍金でブレーメンに完全移籍。

 その半年前にあたる2023年夏には、テン・ハフ体制1年目のプレシーズンで好印象を与えていたチャーリー・サヴェージ、ジダン・イクバル、イーサン・レアードがいずれも100万ユーロに満たない安い移籍金でユナイテッドを去った。

 2022年夏には、2020/21シーズンのウェストハムへのローン移籍を経て評価を高めていたジェシー・リンガードが契約満了で退団。2020年夏には現在イングランド代表にも名を連ねるアンヘル・ゴメスがフリーでリールに加入している。

 近年、明らかに移籍金が高騰しているのにも関わらず、アカデミー出身の選手で最高額の売却益をもたらしたのは2003年夏のベッカム(→レアル・マドリード)の3750万ユーロ(約60億円)まで遡る。それに次ぐのが昨夏に売却したスコット・マクトミネイ(→ナポリ)とメイソン・グリーンウッド(→マルセイユ)で、2024年2月に決定したINEOSの株式25%買収以降に再編されたリクルート部門の功績が大きい。

 兎にも角にも、PSR時代以降において戦力化できなかった選手を放出するのがあまりに下手すぎた。売り時を誤って、結果的にフリー、もしくはかなり安価での退団が多発してしまったのだ。

 これはクラブのアカデミー出身者を大切にする文化に加え、“10年遅れ”と言っても良い「古いクラブ経営」の体制が招いた結果だと言える。

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