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Jリーグ 3日前

ファウルの基準変更は無法地帯になりかねない。「Jリーグは悪い方向に行っている」のか? 現場から漏れる悲痛な声【コラム】

シリーズ:コラム text by 編集部 photo by Getty Images

反則を見極められなければ、すなわち無法地帯

 第3節までを昨季と比較すれば、1試合あたりの1チーム平均ファウル数は12.0から10.8に減少は見られた。まだ集計結果は出ていないが、これでAPTがどれだけ伸びているのか。ラフプレーに近いものが許容されることで、どうしても両チームがそうした行為の応酬を見せてしまう。試合中に倒れ込んだ選手の治療のためにプレーが止まる回数が増える、あるいはカードを提示する、審判に抗議する回数が増えることで結果的にAPTが減少するような事態になれば本末転倒だが、その疑いすら感じさせる光景が今季のピッチ上にある。

 何より、ストレスをためた選手たちの姿をスタジアムで見る両チームのサポーターもストレスを増加させるだろう。野々村チェアマンは前述のイベントの際に「ルールが変わるわけではない」とコメントしたが、その範囲の中に現状が収まっているのか。

 日本サッカー協会(JFA)の審判交流プログラムで来日しているベルギーのネイサン・フェルボーメン氏が主審を務めた第4節の浦和レッズと柏レイソルのゲームは、浦和が積極的なプレスに出たこともありテンポの遅いゲームではなかった。しかし、やり過ぎにならない時点でのコントロールをすることで、今季に散見されたような荒れ模様にはならなかった。筋肉のトラブルでピッチに倒れ込んだ選手こそ両チームから出たものの、プレーが止まっている時間は少なかった印象だ。結果的に、不自然なほど接触を流した印象がないのに、このゲームでオフサイドをのぞく反則の数は柏が9回、浦和が7回と平均より少なかった。

 大迫勇也は「Jリーグは大丈夫なのか」と話し、サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督はMFトルガイ・アルスランが試合中に負傷したこともあるが、「Jリーグは悪い方向に行っている」とストレートな言葉を残した。
 

 リーグ全体の方針でプレー強度を高めようとするにしても、手や腕で相手を制限しようとするプレーや、そもそも相手に当たることが目的になっているようなプレーを反則として見極めなければ、ただの無法地帯になってしまう。開幕直後とあり、シーズンに向けた方針が過剰に解釈されている部分が出ているのかもしれないが、軌道修正が必要なのではないだろうか。

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【了】
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