キヴを支える右腕は、パルマ最強の“頭脳”の持ち主。
「彼は私がインテルに来たときに最も手助けしてくれた人物の一人。そこには3冠を達成したレジェンドたちがいて、すべてを勝ち取った選手たちが揃っていた。彼はすぐに的確なアドバイスをくれ、素晴らしい関係が築かれた。それは今でも続いている。彼は友人であり、素晴らしい人物だ」。人間的にも優れた人物であることを主張した。
キヴが育て上げた代表的な選手の名を見れば、いかに優れた指導者であるかが理解できるはずだ。
2023年からボローニャでプレーするジョヴァンニ・ファッビアンは、レッジーナにレンタルした22/23シーズンにセリエBのMVPに選出されている。そして、今冬のメルカートでチェルシーからトリノに移籍したチェーザレ・カサデイ。2023年のU-20ワールドカップ(W杯)得点王にして、最優秀選手。アッズーリの未来を担う逸材だ。
1月に22歳の誕生日を迎えた2人は、キヴの指導の下、プリマヴェーラのチャンピオンに輝いた。インテルのトップチームでこそデビューの機会を得ることは叶わなかったが、クラブを移し替えながらも、持ち前のポテンシャルを着実に伸ばしている。パルマはセリエAで平均年齢が最も若い23.7歳のチーム。若手を育て上げるには、これ以上ない人材を呼び寄せたと言えるだろう。
そのキヴを支えるのは、アシスタントコーチであり、サンプドリアのレジェンド、アンジェロ・パロンボ。そして、助監督に任命されたアントニオ・ガリアルディだ。
後者は、ボローニャ戦で、何枚もの用紙が積み重なったホワイトボードを抱え、キヴの横で、途中出場する選手たちに精力的に指示を出していた男だ。統計データの最先端、『Opta』でマッチ・アナリストを務め、イタリア代表で10年に渡り、戦力分析を担った、この分野のパイオニア的存在だ。
アッズーリでは、ロベルト・ドナドーニ、チェーザレ・プランデッリ、アントニオ・コンテ、そして、2021年に欧州制覇を果たしたロベルト・マンチーニの下で、有益なデータを提供し続けた。ユヴェントスとファティ・カラギュムリュクSKでは、アンドレア・ピルロの参謀も担った。データ・サッカーを重視するパルマに最適な人物であり、キヴにとっては、これ以上ない右腕である。
41歳のガリアルディはかつて、ポジショナルプレーの信奉者であったが、固定観念に縛られない、柔軟な思考の持ち主。勝利するために最適の手段を選び、それを実行させる。常に最新の戦術をアップロードすることを怠らない研究熱心なアナリストである。パルマは最強の“頭脳”を手に入れたのだ。
若き才能を育て上げる手腕に長けたキヴとデータ分析の先駆者的存在のガリアルディの融合。果たして、パルマにどのような化学反応をもたらすのか。ジャッロブルーの戦いから目が離せない。
(文:佐藤徳和)
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