あのときチームが変わった。「本来ならばわれわれのようなチームは…」
「練習が一度止まって、そこで森下さんから言葉があって。何を言われたのかはあまり言いたくないけど、そこでみんなが目を覚ましてピリッとしたというか、そういったいい機会がありました」
こう明かした谷口によれば、森下仁志コーチは「カミナリを落とした、という感じではなかった」という。ならば、どん底のチームに何を悟らせたのか。答えは試合後の公式会見に見え隠れしていた。
城福浩監督は「自分たちが招いたもの」と開幕2連敗を喫した要因を真正面から受け止めながら、昇格組ながら6位に躍進した昨シーズンと、メンタル面でのアプローチが違っていたと自らを責めた。
「本来ならばわれわれのような規模のチーム、あるいは経験値のチームは走り負けてはいけない。ただ、開幕節と第2節は、昨シーズンの経緯からこの舞台にいるのが当たり前だと選手たちに思わせて、ピッチに立たせてしまった自分がいた。その意味で今日はわれわれが変われるチャンスだと思って準備をしてきた」
おそらくは同じニュアンスの言葉を、森下コーチが練習を中断させてまで選手たちに投げかけたのだろう。谷口も「僕もすごく食らいました」と、図星を突かれた思いに駆られたと振り返っている。