現代のトップ下の理想像
ソボスライのようにトランジションで無理が効くMFの重要性は、近年の移籍市場における各クラブの動きや移籍金の高騰からも想像できるだろう。
アーセナルのデクラン・ライスやチェルシーのモイセス・カイセド、ニューカッスルの中盤3枚、アストン・ヴィラのアマドゥ・オナナ、ブライトンのカルロス・バレバらは相手FWに背走している状況でもボールを奪える身体能力の高さを兼ね備えており、奪った直後のプレーの質も高い。
ただ、彼らとソボスライは起用されているポジションが違う。トップ下という本来は攻撃的な関与が求められるポジションで、多くの守備タスクを担っているのだ。
肝心の攻撃面での貢献度も徐々に増している。マンチェスター・シティ戦で披露したパフォーマンスは「現代のトップ下の理想像」とも言えるものだった。
ストライカーを配置しない0トップで戦った中でも、積極的な裏抜けをはじめとするアクションでボールを引き出し、ファイナルサードでも決定的な仕事をこなして全2得点に関与。守備でも味方選手にプレスのかけ方を指示しつつ、90分を過ぎても強度を落とさず相手CBにプレッシャーを与え続けた。
ようやく走るのを止めたのは、試合終了のホイッスルが鳴ったタイミング。中3日でのアウェイ連戦を終えて、疲労からその場に倒れ込んだ。
蓄積疲労が懸念されるが、次の試合も平然とハイパフォーマンスを披露するのがソボスライなのだ。スロット監督の就任によって進化した現代型のトップ下の最高峰がシーズン終了まで走り抜くことができれば、リバプールは自ずとタイトルに近づくだろう。
(文:安洋一郎)
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