「僕は水戸さんに拾ってもらった」
「相手ゴール前への入り方やタイミングとか、相手ゴールへのボールの流し込み方とか、本当に基本的なプレーを毎週のように練習してきました。いまではそれらが、自分の体に染みついています」
昨シーズンからは沼津への完全移籍に移行。マリノスのファン・サポーターへ「僕のサッカー人生は終わったわけではなく、まだまだ始まったばかりです」と力強いメッセージを残し、引き続き中山監督のもとで貪欲に成長を求めた結果が、リーグ戦の全38試合出場とチーム2位の9ゴールだった。
「自分のなかではゴールが決まり出した昨シーズンから、ゴールへボールを流し込むプレーを意識できた。基本を繰り返し練習してきたからこそ、今日もゴールの枠へシュートを飛ばせたと思っています」
沼津での主戦場は右ウイング。ゴールを奪う能力だけでなく、身長180cm体重75kgの恵まれた体をフルに生かした、ダイナミックで力強いドリブル突破が水戸の求めるサイドアタッカー像と一致した。
「真ん中も大事ですけど、いまのサッカーはサイド攻撃が大事だし、サイドで仕掛ける、という部分で僕は水戸さんに拾ってもらったと思っている。サイドでのプレーを体現できなければ自分じゃないと思っているので、自分が試合に出させてもらっている以上は、自分の持ち味をどんどん出していきたい」
J2への個人的なステップアップを果たした津久井は、山形とのホーム開幕戦でも縦への突破だけでなく、周囲との連係で中へ切れ込んでいくプレーを何度も披露。開始25分までに8本ものコーナーキック(CK)を獲得した水戸の猛攻の中心を担い、そして同28分に決勝点となるJ2初ゴールを決めた。
試合後に降り注いできたホームの大声援に、津久井は「自分という存在や、どのような特長をもった選手なのかをわかってもらえたと思う」と端正なマスクを綻ばせながら、さらに前を見すえている。