中山が左WBで起用されている理由
イングランド2部にあたるEFLチャンピオンシップのハダースフィールド・タウンから、昨年8月に町田へ加入した中山はすぐに先発に名を連ねた。ポジションは4バックで形成されていた最終ラインの左センターバック(CB)。新天地での初陣となったジュビロ磐田戦では先制ゴールも決めた。
しかし、好事魔多しというべきか。9月に右膝内側側副靱帯を損傷した中山は、長期の戦線離脱を余儀なくされる。そして、昨季のリーグ戦最後の2試合で復帰を果たしたとき、町田の最終ラインは3バックに変わっていた。オフをへて、本格的に3バックへ移行した今シーズン。中山の主戦場はどこになるかが注目された。
「ちょっとわからないですね。そこは監督と強化部に聞いてください」
苦笑しながら始動時にこう語った中山が任されたのは、3バックの左CBではなく左ウイングバック(WB)。登録こそ「DF」ながら、広島との開幕戦、FC東京との第2節と中山は左WBで先発した。
このオフに岡村大八を北海道コンサドーレ札幌から、菊池流帆をヴィッセル神戸からそれぞれ獲得。昌子やドレシェヴィッチを含めて、高さと強さを兼ね備えたCB陣がそろった陣容以上に、町田の指揮を執って3シーズン目を迎えている黒田剛監督が、左WBの中山に託している狙いがあった。
「ボールが収まる選手ですし、配球のレベルが上がるなかでシャドーの西村や相馬(勇紀)がより活きてくる。攻守両面において、中山の左ウイングバック起用はわれわれにとって非常にありがたい材料だと思っている」
守備面でのタスクもある。広島の右WB、中野就斗と対峙した開幕戦後に中山はこう語っている。