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Jリーグ 6日前

味方を楽にし、敵を嫌がらせる。小池龍太が体現する新しい鹿島アントラーズ。なぜ鬼木達監督は右MFで起用したのか?【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

この試合が「最適解」ではない。目指す場所はまだまだ上

 湘南戦を終えて、チームとしての狙いがシンプルになったことで、それがチームに共通認識として落とし込まれた「選手の気持ちを押し出せられるような展開に持っていきたかった」と言っていた湘南戦の反省点が活かされた形だ。

 例えば、左サイドの松村はボール保持時に積極的に裏への抜け出す動きを繰り返していた。「裏に抜けたり、走るとか、最低限、そういうめんどくさいやつになれたかな」と松村が振り返るように、松村の動き出しは相手の陣形を崩すのに一役買っている。

 そのシンプルな狙いが奏功した。守備では前から制限をかけて相手のビルドアップをひっかける。攻撃では前線が積極的に相手の裏を取り、そこへシンプルにボールを入れていく。球際の勝負でも勇敢に戦えたのは、狙いが明確になったことも大きいだろう。果たして、鹿島が試合の主導権を握り、相手の3倍となる15本のシュートを記録した。

 ただ、目指す場所はまだまだ上にある。向上すべき点について「すべての面」と言い切る小池は、「途中で入ってきた選手の理解度だったり、自分たちのメンタリティだったり。いろんなバリエーションを見せないといけないし、どんな相手でもそれができないといけないというところは突き詰めていかないといけない」と語る。

 このチームで最も直近でリーグ優勝を経験した人から出た言葉は重みが違う。この試合で明らかになったのは、この試合は良かったということだけであり、これを続けていけば優勝できるほど単純な話ではないということは、小池をはじめとする選手たちは当然理解している。

「まだ成長する余地があるし、まだ自分たちが求めるものにはたどり着いていないですけど、その中でも結果を出していくのは大事」と言ったのは小池だ。勝利からも反省材料をあぶり出し、中3日で迎えるアルビレックス新潟戦に向かっていく。

(取材・文:加藤健一)
 

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【了】
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