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コラム 2日前

過去15年で最低の成績。トッテナムはなぜ監督を解任しないのか? “動かない”のではなく“動けない” 根深い理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

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 トッテナム・ホットスパーが過去15年で最も苦しいシーズンを過ごしている。2季目のアンジェ・ポステコグルー体制で、プレミアリーグ12位と監督交代を敢行しても驚かない成績不振に陥っている。しかし、現時点では監督を交代する予兆が見えない。なぜ、極度の成績不振でも監督を変えることができないのだろうか。(文:安洋一郎)

トッテナムに残された希望はELのみ

アンジェ・ポステコグルー
【写真:Getty Images】

 トッテナムがプレミアリーグの“新興勢力”の波に飲まれている。

 4季連続でのトップ4フィニッシュ、2018/19シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準優勝に導いたマウリシオ・ポチェッティーノがチームを去ってからの成績低下は明らかだ。

 彼がシーズン途中に解任された2019/20シーズン以降の5シーズンでトップ4フィニッシュしたのは1度のみ。6位→7位→4位→8位→5位と、ポチェッティーノ政権時は常連だった上位争いから現在は中位争いへと戦いのフィールドを下げた。

 迎えた今季は過去15年で最も苦しいシーズンを過ごしている。

 アンジェ・ポステコグルー監督が志向するサッカーは、プレミアリーグで2番目に多い平均走行距離(第24節終了時点。Sky Sportsを参照)を記録していることからもわかるように、選手への負荷が大きい。加えて走行距離のトップ5のクラブの中では唯一欧州カップ戦を並行して戦っており、その結果が主力選手の怪我人続出に繋がったと考えられる。

 十分な戦力が揃わない状態で戦えるほどプレミアリーグは甘くない。直近の2連勝で順位を12位まで上げたが、第17節から第23節までの7試合では1分6敗と大ブレーキ。5位でフィニッシュした昨季の勝ち点「66」に並ぶためには、残りの13試合を12勝1敗よりも上の成績を残す必要がある。トップ4以内でのフィニッシュは絶望的だ。

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)では決勝トーナメントに進出している一方で、カラバオ・カップとFAカップはすでに敗退。ELを勝ち上がる可能性もあるが、過密日程を得意としていないポステコグルーの下でのタイトル獲得の難易度はかなり高いだろう。

 この厳しい状況でも監督交代を決断しないのには“理由”があると推測している。

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