結果を出すために…。「そこはプロの世界でも変わらない」
「試合に入ってきたときに、中村選手はいつも『スペースにパスを出してほしい』と言ってくる。自分と同じサイドでプレーするケースが多いなかで、自分がサポートしながら、中村選手には好きなようにプレーしてもらうのがベストだと思うので、その意味でもあまり近づかないようにしています」
プロの壁を感じつつも、相手ゴール前で発揮するスピードや動き出しの質では負けないと自信を抱く。長所を前面に押し出そうと周囲を動かし、短所を必死に補おうとする中村の姿に指揮官も目を細める。
「彼がわれわれのクラブを選んでくれた決断をうれしく思うのと同時に、われわれも彼をもっと、もっといいプレーヤーに成長させていきたい。昨シーズンと違い、選手交代によって違った形の、具体的には個人の特長を生かしたサッカーを展開できるようになった。新しい風を吹かせるサッカーができる」
2位に入った昨シーズンのリーグ戦を振り返れば、広島は逆転勝ちが0だった。相手に先制された試合は6分6敗。菅と中村がゲームチェンジャー的な役割を担っているなか、先制すれば19勝4分2敗と盤石の強さを誇った広島が、昨シーズン2戦2勝の町田からいきなり逆転勝利を奪った。
今後の戦いで「後半の――」や、あるいは「逆転の――」と呼ばれる可能性もある。広島に新たな力を加えつつある中村は、それでも広島入りが決まった際に立てた誓いを成就させるべく、貪欲に前を見すえる。
「開幕戦でのゴールは達成できたけど、スタメンを奪うところはかなわなかった。ただ、大学時代からどんな役割でも自分は常に全力を尽くしてきた。そこはプロの世界でも変わらないし、いい準備をして、与えられたポジションやプレー時間で自分がもっている力をすべて出せば、おのずと結果がついてくると思う」
中2日で19日にはナムディンとのACL2ラウンド16第2戦が待つ。まだ見ぬホームのピッチに立てるかもしれない。そう考えるだけで、黄金ルーキーはすでにモチベーションを高めている。
(取材・文:藤江直人)
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