「そのためにも絶対に…」。シュートの瞬間に意識したこと
「左へ開いてパスをもらおうと思っていたんですけど、ジャメさん(ジャーメイン)がシュートを選択したなかで、たまたま自分の目の前に転がってきた。そんな感じです」
さりげなく振り返った中村だったが、最初にパスを受ける形を選択したときには、オフサイドにならないように周囲を見わたし、少しだけポジションを修正している。心憎いほどに冷静沈着な思考回路は、ブロックに飛び込む中山雄太をものともせずに右足を合わせた瞬間も作動していた。
「目の前でバウンドしてちょっと難しかったですけど、とにかくゴールの枠のなかに蹴り込もうと意識しました。枠のなかに飛んでいけば何かが起こると思っていたので、そのためにも絶対にふかしちゃいけない、と。それがゴールという結果につながって、もうやばかったですね。本当に最高でした」
バウンドした直後のボールを、右足で抑え気味に放った一撃は中山がとっさに伸ばした左手をかすめ、コースを変えてゴール右隅へ。ルーキーの初ゴールを、谷も棒立ちしたまま見送るしかなかった。
中村は12日に敵地で行われた、ナムディンFC(ベトナム)とのAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)のラウンド16第1戦でも、途中出場から9分後の73分にプロ初ゴールとなる先制弾をゲット。広島を3-0の快勝に導き、町田との開幕戦でもヒーローになっても、中村は自身の立ち位置を謙虚に受け止める。