ノッティンガム・フォレストの野心
ここまでフォレストの躍進の要因について分析してきたが、彼らに弱点がないわけではない。
特に先制を許した試合では、自分たちのスタイルと反して前掛かりになる必要があるためバランスが崩れやすく、同点以上の結果が出た試合は第16節のアストン・ヴィラ戦しかない。それ以外の4試合は敗戦している。
ただ、ここまでの安定的な戦いを見れば、来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得できる可能性が高いと予想している。怪我人が出にくいサッカーをしているのが最大の理由で、このまま主力を維持することができればトップ5以内でのフィニッシュは現実的な目標になるだろう。
この躍進は多くの人からして想定外の出来事だったが、「偶然」の一言で片づけるのは違う。フォレストのオーナーであるエヴァンジェロス・マリナキスはオーナー就任時に「クラブに栄光を取り戻す」という声明を出し、「プレミアリーグ復帰」と「欧州カップ戦復帰」を目標にクラブへ積極的な投資を行っていた。
そのための主力選手の慰留にも力を入れており、『The Telegraph』によると今冬の移籍市場で、売却すればクラブ史上最高額となるムリージョに対するオファーを断っていたそうだ。
その数日後にムリージョはクラブと2029年夏までの新契約を結び、「僕らの前には大きな未来が待っていると確信している」と、若き守備の要はクラブに忠誠を誓った。
同じタイミングでオーナーのマリキナスも「私たちは大きな夢を見ているし、彼もそうだ。 彼は私たちがこの偉大なクラブでやっていることの力を信じている。 同じ大胆な野心を分かち合えば、一緒に達成できることに限界はない」と、改めて野心を表明した。
ピッチ内とピッチ外で共鳴し合う彼らの野心は本物だ。1979年と1980年にUEFAチャンピオンズカップ(現CL)を2連覇した古豪に、再び栄光の時代が訪れるのはそう遠くないだろう。
(文:安洋一郎)
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