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コラム 1週間前

「私たちは大きな夢を…」ノッティンガム・フォレストの野心は本物だ。「苦手を克服し、得意を伸ばす」補強戦略の成就【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

セットプレー時の守備を克服した手段

 昨シーズンのフォレストが、堅守速攻のサッカーを成立させることに苦労していたのはセットプレー時の守備の弱さが影響している。データサイト『WhoScored.com』によると、昨季のプレミアリーグではセットプレーからリーグ最多となる22失点を喫していた。

 そこで白羽の矢が立ったのが身長195cmの大型CBであるミレンコビッチだった。受動的な対応が求められる守備において、セットプレーでは特にその要素が高くなってくる。そのため、セットプレー専門のコーチよりも、クロスに対してストーンとなれる選手を何人ゴール前に配置できるかの方が重要だと筆者は推測している。

 実際にフォレストは昨シーズンの途中からサイモン・ラスクをクラブ初となるセットプレーコーチに任命していた。確かに就任後からセットプレーの得点は増えたが、失点が減少することは一向になかった。そして彼はシーズン終了後にチームを去った。

 今シーズンは再びセットプレーコーチを置かずに戦っているが、ミレンコビッチというクロスに強いストッパーを入れたことで大幅に失点が減少している。第24節終了時点では5失点しか喫しておらず、1試合平均にすると「0.58」から「0.2」へと減少した。

 フォレストは押し込まれやすいチームの戦術上、相手にコーナーキックを与えやすいサッカーで戦っているためセットプレー時の守備の向上は必須だった。この弱点にピンポイントで彼を補強することができたのは、今シーズンの躍進に欠かせない要素と言えるだろう。

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