「全く活躍できず」「通用せず」だった過去
「20歳の時、ベルギーへ行きましたが全く活躍できず、世代別代表に行っても自分のプレーが通用せず、ベルマーレの一員としてプレーしている時が一番楽しく一番自分を出せました。でも自分は海外で活躍し、日本代表選手になることが昔からの夢です。だからこそベルマーレではないまた違ったクラブで結果を残す、活躍するということが大事なのではないかと思っているのが本音です。自分勝手だと思いますし、理解してもらうのは難しいかもしれませんが、自分なりにたくさん考えたくさん悩んだ末にこの選択に至りました」
昨年12月、広島への移籍が発表された際に、湘南が出したリリースで田中はこのようなコメントを残している。17歳でJリーグデビューし、20歳でベルギーへ渡った。年代別の日本代表でもプレーしたそのキャリアは一見順風満帆に見えるが、本人の評価は違う。「全く活躍できず」「通用せず」というのは、少し厳しい評価にも見えるが、悔しさや課題から目を逸らさない姿勢が、田中をここまで成長させてきた。それはこの日の神戸戦でも変わっていなかった。
そして、今の広島の環境は田中にとって理想的とも言える。周りには日本代表を経験したベテランも、田中と同じように日本代表を夢見る若手もいる。その中で田中が自分らしさを出せなければ、このチームの中で生き残っていくことはできない。
田中は現在地を謙虚に認識しながらも、まっすぐ上を見つめる。