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Jリーグ 2週間前

「サッカーができる幸せを…」ヴィッセル神戸、齊藤未月は539日ぶりのピッチに何を思ったか。「だからこそ今度は」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「そこに対して目を向けてもらったほうがいい」

「自分のためを思っていつも接してくれた妻や両親に支えられたし、サポーターも含めて、そういう存在がいなければ乗り越えられなかったというか、引退を考えたくらいの感じになっていたと思う。自分のために涙してくれる人が身近にいたからこそ、自分にはやるべきことがあると強く思えたし、サッカーができる幸せをかみしめられた。だからこそ、今度は自分が周りを笑顔にする番だと思っている」

 すでにチーム内へポジティブな効果も与えている。齊藤の離脱後にアンカーに定着し、リーグ戦連覇と昨シーズンの天皇杯制覇にも貢献した扇原貴宏は、畏敬の念を込めながら齊藤の復帰を喜んだ。

「未月じゃなければ乗り越えられたかどうかわからない怪我だったと思うし、人間力を含めて、未月はあらためて素晴らしい選手だと思っている。僕自身も引き続き頑張らなきゃいけないという思いにさせられたし、ポジション争いを含めて、お互いに切磋琢磨してチームをさらに強くしていきたい」

 過酷なリハビリを積み重ねながら、復帰するのは当然と位置づけてきた。だからこそ、539日ぶり、という数字に関する声を、齊藤は「感動どうこう、というのはなくてもいいと思う」とこう続けた。

「ピッチに立って結果を残し続けるのがプロサッカー選手の価値になるし、そこに対して目を向けてもらったほうがいい。その意味でもここ(復帰)は目標ではないし、シーズンが終わったときにどのような活躍をして、どのような形でチームを優勝に導けているのか、というのがすごく重要だと思っている」

 神戸は3月中旬までに最大11試合を戦う。吉田監督が掲げた「2チームで回していく」という方針のもと、過密日程において主力や控えという線引きは曖昧になった。ピッチに立つたびに、納得できるパフォーマンスで神戸を勝利に導く存在になるために。身長166cm体重66kgの小さな体に無限のスタミナを搭載しながら、26歳になったばかりの齊藤は怪我を負う前の自分を乗り越える挑戦を加速させていく。

(取材・文:藤江直人)

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