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コラム 2週間前

ラウタロ・マルティネスは点取り屋として賢い。インテルを勝たせるための工夫。得点数減少も「調子が良い」と語るわけ【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

幼少期の経験により育まれたラウタロの人間性

 ラウタロ・ハビエル・マルティネスは1997年8月22日、ブエノスアイレス州の湾岸都市、バイア・ブランカに生を受けた。

「小さい頃、俺には何もなかった。時には、夜どこで寝ることになるのかさえ分からないこともあった。そういう経験が俺の人間性を形作ったんだ。だからこそ、自分が乗り越えてきたものすべてをピッチの上で表現しようとしている。

 サッカー以外でも、困っている人を助けたいという気持ちが強いし、病気の子どもたちに会いに行くのも嬉しい。彼らが何を感じ、どんな困難を抱えているのか、自分にはよく分かるから」と過酷な幼少期を過ごしたと打ち明けている。

 インテルジャパンツアーでも、ラウタロのやさしさは垣間見えた。炎天のもと行われたインタビューでは、スペイン語通訳の方を気遣っていたのが印象的だった。そういった心遣いは幼少期に培われたものだった。貧しくはあったが、懸命に働く父、マリオを中心に家族の絆は強かった。

「父のようにサッカー選手になる夢はずっと持っていた。でも、15歳のときにボカ・ジュニアーズで1週間のトライアルを受けたが、『スピードもパワーもない』と言われて不合格となった。自宅に戻り、父に『楽しみたいし、サッカーをやめて働きたい』と言った。

 そのあとに、ラシン・クラブから、トライアルを受けないかと誘われた。そこで『俺を必要とするなら行くが、もうトライアルは受けない』と言った。すると彼らはすぐに採用してくれた」

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