19位:湘南ベルマーレ
【写真:Getty Images】
昨季も残留争いに巻き込まれてしまったが、湘南ベルマーレにとっては大きく進歩したシーズンだったのは間違いない。縦に速いサッカーだけでなく、ボールを保持しながら試合を作るサッカーが浸透した。2021年9月から指揮を執る山口智監督の下、この土台を基盤に今季も戦っていくことになるだろう。
今冬の動きを見ると、戦力ダウンと言わざるを得ないだろう。キーマンだった田中聡の移籍は大打撃という表現が大げさではない。またベテランの阿部浩之と山田直輝の移籍は、ピッチ内外で少なからず影響があるだろう。杉岡大暉と吉田新が抜けた左ウイングバックの選手層も気になるところだ。
現役引退した富居大樹を含め、長くチームを支えて生きた選手たちがチームを去った中、最優先で考えなければいけなかったのは田中の穴埋めだろう。川崎フロンターレから期限付き移籍で獲得したゼ・ヒカルドは昨季こそ11試合の出場に留まったが、カバー能力が高く、前からプレスをかけていく湘南のアンカーにピッタリな存在と言える。ボール保持の局面でリスキーなパスで不用意なロストをする場面が川崎で見られたが、その部分で成長が見られれば湘南で不動の地位を確立できるだろう。
さらに、藤井智也の存在も面白い。サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズとJ1クラブを渡り歩いてきた26歳で、圧倒的なスピードを武器にサイドを駆け上がれるプレーヤーだ。左右どちらもプレーできるので、右では鈴木雄斗のバックアッパーとして、左では畑大雅とポジションを争う存在として、チームに新たな競争を生み出してくれそうだ。守備の局面での課題を学ぶことができれば、藤井の獲得は湘南にとって選択肢を増やす十分な補強となるだろう。