井手口の中に駆り立てられた思い。「絶対に蛍くんと比較されると…」
「陽介(井手口)、鍬(鍬先祐弥)、彼らが自分が離脱してる間、試合に出て活躍してる姿を見ると、もう自分は必要ないのかなって思った事。ただこれはナーバスになってるとかではなくてヴィッセル神戸の未来を考えると彼らの力がこれからのヴィッセル神戸を支えるのは間違いないから!だから安心して手術に踏み切る事が出来ました! まだまだピッチでプレー出来るし成長出来る! その為の決断です!」(原文ママ)
名前をあげられた井手口は、名古屋グランパスとの第24節から湘南との最終節まで15試合続けて先発。守備時にはアンカーの扇原貴宏とダブルボランチを、攻撃時には積極果敢に前線にからんでいくインサイドハーフとしてのタスクを、井手口は「自然と体が動けるようになった」と振り返る。
ただ単に神戸に順応できただけではない。危機感に通じる思いに駆り立てられていた。
「蛍くんが怪我をして、僕が代わりで試合に出るとなったときに、絶対に蛍くんと比較されると思っていた。なので、蛍くんがいなくなったから勝てなくなったとか、やはり蛍くんじゃないとあかん、などと絶対に思われたくなかった。そういった気持ちになれたのが、自分のなかですごくよかったと思っています」
リーグ戦だけでなく、順調に勝ち進んでいった天皇杯、そして9月からリーグステージがはじまったAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)でもフル回転。右肩上がりの軌跡を描いて終えた昨シーズンを自己採点するとしたら――井手口は「満足はしていないですね」と厳しい視線を自らへ向ける。