「鬼さんが川崎でやっている時と比べたら…」
「(監督から)言われていることにトライしているのはいいんですけど、必ずしもそれが正解ではないし、必ずしも鬼さん(鬼木監督)もそれをやれっていっているわけではない」
一読すると矛盾しているようにも感じる鈴木優磨の言葉だが、実に本質的で含蓄のある言葉だ。
鬼木監督はこれまでも「相手を見て」サッカーをすることを強調してきた。足下でボールを動かすのは、その1つの方法にすぎないということを見失ってはいけないのだ。
「トライするという意味では、相手を見ながらやれている選手が少ない。鬼さんが川崎でやっている時と比べたら、柔軟性の少なさというのは僕も感じています」と鈴木優磨は話す。知念も「もうちょっと臨機応変にやってもいい。相手を見てやるっていう部分ではちょっと足りない」、三竿健斗も「相手を見るっていう作業がまだできていない」と課題を感じていた。
川崎が強かったのは、単に技術力が高かったからだけではない。相手の配置や動きを見ながら、嫌がるスペースを突き続けたからこそ、相手を疲弊させ、相手に穴が生まれていた。「裏に抜ける選手がいなかった足下は食われる。うまくいっている試合は裏に抜ける選手がいて、そこで空いたスペースを使っている」と鈴木優磨は話している。
ボールの出し手と受け手だけではなく、3人目、4人目の動きがスペースを作る。それがなければどんなに技術があったとしても、この試合の1本目のように相手のプレスの餌食になってしまう。
相手を見てサッカーをするという鬼木サッカーの本質をどこまで落とし込めるかが、開幕までのキーワードになりそうだ。2月1日に水戸ホーリーホックとのプレシーズンマッチ「いばらきサッカーフェスティバル」で、もう1段階クオリティを上げた姿を見ることができるかもしれない。
(取材・文:加藤健一【宮崎】)
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