敵地で見せた“あるべき姿”
個の質の部分で上回ったアーセナルは、10人の時間を耐え抜くことに成功。幸運なことに、70分にジョアン・ゴメスが2枚目のイエローカードで退場すると試合は10対10の構図へと変化する。
数的不利な状況下でも互角に渡り合っていたのだから、イーブンなシチュエーションになってしまえば個で勝るアーセナルが有利である。ゴメス退場から約4分後、攻撃参加していたカラフィオーリが執念のゴールをねじ込んだ。これが決勝ゴールとなり、アウェイチームは貴重な勝ち点「3」を手にしている。
ウルヴズ側が数的優位を全く生かせず、効果的な攻撃を殆ど見せられないまま自滅してしまった部分が勝因の1つであることは間違いない。だが彼らに自由を与えず、そのペースを狂わせた背景にはアーセナルの集中力の高い能動的なディフェンスがあった。
久しぶりにアーセナルの強みの「本質」や「根源」の部分を垣間見た試合になったのではないだろうか。マルティン・ウーデゴールやブカヨ・サカを中心にしたコンビネーションも大きな武器だが、それと同じくらい、身体能力をフルに活用したフィジカルなサッカーも彼らの強みであることを再認識させられた。
選手たちの疲労による消耗やスケリーの出場停止など、アーセナルが失ったものは大きい。しかし、リーグ優勝を目指すチームとして“あるべき姿”をモリニュー・スタジアムでは示せたのではないだろうか。
(文:竹内快)