セリエAで忘れかけられていたドリブラーの誕生
「ナポリのようなクラブにとって、この移籍は必要なものだった。クヴァラ自身の意思が決定的なものとなり、我々はそれに従った。彼は重要な選手だが、これから我々がどのように動くべきかを検討している。しかし、過去にも重要な選手が退団し、そのたびに代わりの選手を見つけてきた。心配はしていない」
マンナSDが話したように、ナポリは、これまでもチームの中心となった多くの選手を高額で売却しながら、手にした資金でチームをさらに強化してきたクラブである。過去には、ゴンサロ・イグアインを9000万ユーロ(約144億円)の移籍金でユヴェントスに、ジョルジーニョを6500万ユーロ(約104億円)でチェルシーに放出した。
クヴァラツヘリアの移籍金はクラブ史上2位の高額金となった。そして、同選手が移籍したPSGとはこれで4度目の取引だ。エディンソン・カバーニは6400万ユーロ(約102億円)、エセキエル・ラベッシは3000万ユーロ(約48億円)、ファビアン・ルイスは2300万ユーロ(約36億8000万円)とクヴァラと合わせて、PSGからだけで総額1億8700万ユーロ(約299億円)もの移籍金を得ることに成功している。
現在23歳のクヴァラツヘリアがナポリに加入したのは2022年7月1日。ジョージアのディナモ・バトゥミからの加入だった。クラブの名も、このジョージア人の名も世界的には全くの無名で、どれだけ活躍できるのかは未知数だった。このときの移籍金が、1000万ユーロ(約16億円)だから、2年半で7倍もの値がついたことになる。
ナポリでの年俸は、180万ユーロ(約2億9000万円)と今では信じられないような金額だった。2023年のセリエAにおける平均給与は約177万ユーロ(約2億8000万円)であるから、クヴァラツヘリアの報酬も平均的なものだ。しかし、加入1年目の22/23シーズンは、平均的なパフォーマンスどころか、トップ・オブ・トップの活躍ぶりを見せた。
開幕節ヴェローナ戦での、1得点1アシストを皮切りに、リーグ戦で12ゴールと13アシストを記録。クヴァラツヘリアの豪快で積極果敢なドリブルは、ドリブラーの少ないイタリアにおいて、忘れ去られていた本質的な喜びを多くのファンに思い起こさせるものだった。