「僕が追いかけてきたものじゃないと感じるように…」
「もうベニ(監督)の言ってることの意味が分からなくて、『ホンマ難しい。もう分からん、ムリや』と。でもベニは分かるまで説明してくれて、『お前には戦術以上の役割がある』と言ってくれた。だから頑張れたけど、ホンマにサッカーが難しくなりすぎていると思うんですよね。
もともと自分はサッカーが楽しくて、簡単で、こんなに僕に合ったスポーツはないと思ってやってきたのに、今はしんどくて、難しくて、僕が追いかけてきたものじゃないと感じるようになっていた。それは確かですね」と彼は複雑な思いを吐露した。
柿谷がもっと早くに生まれ、2000年代に円熟期を迎えたなら、より自由度の高いサッカーができたのではないか。日本代表で言えば、ジーコジャパン時代、C大阪で言えばレヴィ—・クルピ監督の頃だろう。
けれども、2010年代以降は「規律を守れない選手はどんなにうまくても、華麗でも使いづらい」と見なされるようになった。しかも、彼のようにストレートな物言いをしたり、感情を思い切りぶつけたりする人間は「コントロールできない」「ヤンチャすぎる」と評されがち。品行方正な選手を求める指導者が増えている分、そのキャラクターもマイナスに作用したところがあったのかもしれない。