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遠藤航はリバプールの“切り札”。一体なぜ? いつもより早くピッチに送り出された明確な理由【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航の投入によって取り戻した「バランス」

 ソボスライに備わっていないと言及した「危険なスペースを事前に察知して埋める」ことは、遠藤が秀でている能力だ。マック・アリスターも普段出場している左サイドにポジションを移したことで中盤にバランスが戻ると、日本代表MFは持ち前の「予測力」でピンチの芽を摘んだ。

 69分にセンターバックと右サイドバックの間のスペースを素早いカバーで埋めたのは彼の真骨頂とも言えるプレーだろう。

 遠藤がピッチに立ってから唯一打たれた85分のシュートシーンも、結果的にブロックをしたのはマック・アリスターだったが、日本代表MFの守備も効果的だった。

 彼はジョナサン・デイヴィッドがラストパスを出す前に一瞬だけ首を振ってハラルドソンの位置を確認。このワンアクションを挟むことで相手の次のプレーを予測することができており、素早くシュートコースを消しながらブロックに入ることができた。

 サッカー界では、途中出場から流れを変える“切り札“の意味を持つ「ジョーカー」という言葉は攻撃的な選手に使われがちだが、スロット監督からすると遠藤も「ジョーカー」である。

 遠藤の投入でチームは失点直後にバランスを取り戻すと、67分にエリオットが決めたゴールが決勝点となり、決勝トーナメント進出を確定させた。

「ワタはいつでも全力を尽くしてくれる」。

 1月14日に行われたプレミアリーグ第21節ノッティンガム・フォレスト戦を前の記者会見でスロット監督が口にしたこの言葉通り、今日も遠藤はピッチ上で全力を尽くして勝利に貢献した。

(文:安洋一郎)

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