MF:キム・シェルストレーム(元スウェーデン代表)
生年月日:1982年8月24日
移籍金:75万ユーロ(約1.2億円)
通算成績:4試合0得点0アシスト
冬の移籍はチームを底上げすることよりも、足りないピースを補うという色が強い。そのため、冬加入の選手には即戦力としての働きが求められる。
そういう意味では、2014年冬にアーセナルに加入したキム・シェルストレームは「失敗補強」だったと言わざるを得ない。
2013/14シーズンのアーセナルは、前半戦を首位で折り返し、リーグ優勝を狙える位置にいた。ところが、年末はアーロン・ラムジーらの負傷離脱などもあって中盤の選手層に不安を抱えることに。このピンチを脱するために、クラブは冬の移籍市場で中盤の新戦力獲得に乗り出した。
白羽の矢が立ったのは、当時31歳とベテランの域に差し掛かっていたシェルストレームである。同選手はスウェーデン代表として国際舞台での経験も豊富であり、実績十分。即戦力としての活躍が期待されていた。
しかし、ここで驚きの事実が発覚する。それは、シェルストレームが負傷を抱えた状態でクラブに加入したことだ。
メディカルチェックの段階で背中を負傷していることが明らかになっていたようだ。それでもチームを率いるアーセン・ベンゲルはリスク承知で獲得を決断。当然ながら即戦力としてプレーすることはできないため、この移籍は少なくない議論を呼ぶことになった。
スウェーデン代表MFが新天地デビューを果たしたのは2014年3月のこと。4月に行われたFAカップ準決勝(ウィガン・アスレティック戦)では、PK戦で2人目のキッカーとしてゴールネットを揺らし決勝進出に貢献したが、それ以外の試合では目立ったパフォーマンスを残すことはできなかった。
そもそも、なぜアーセナルは冬の移籍市場で負傷を抱えたベテラン選手とサインしたのか。シェルストレームの移籍は「特異な失敗例」である。