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アモリムをどう評価するべき? マンチェスター・ユナイテッドは“変われた”のか。2ヶ月で見えてきた手腕と課題【コラム】

シリーズ:コラム text by 内藤秀明 photo by Getty Images

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ルベン・アモリムがマンチェスター・ユナイテッドの新監督に就任してから、およそ2ヶ月が経過した。プレミアリーグ第21節サウサンプトン戦が始まる前の時点の戦績は5勝6敗1分で負け越している。試合結果だけ見れば十分ではないだろう。ただしユナイテッドファンの筆者としては、アモリムは名将であり、彼こそが長らく続いた暗黒期を終わらす救世主だと信じている。苦しい時期はまだあるが、もう既に最悪の時期は脱したと言っても良いと思っている。ではマンチェスター・ユナイテッドはどう変わったのか。就任してから2ヶ月がたったアモリム・ユナイテッドの現在地とは。(文:内藤秀明)

著者プロフィール:内藤秀明

1990年生まれ。プレミアリーグを中心にサッカーライターとして活動中。2023年には4試合解説者も務めた。またプレミアリーグのファンコミュニティ「プレミアパブ」の代表としてトークイベントやフットサルイベントなども主催している。趣味はお笑いライブを見に行くこと。

アモリムが来て変わったポイントとは?

マンチェスター・ユナイテッド監督のルベン・アモリム
【写真:Getty Images】

 ルベン・アモリムがマンチェスター・ユナイテッドに持ち込んだ最大の手土産は柔軟性だ。それはアレックス・ファーガソン以降の、デイビッド・モイーズ、ルイス・ファン・ハール、ジョゼ・モウリーニョ、オーレ・グンナ・スールシャール、エリック・テン・ハフら全監督が持ち合わせなかった要素だ。

 もちろん、一面的には柔軟な監督もいた。例えばモウリーニョは足りないスカッドでも様々な工夫で強固な守備ブロックを構築し、UEFAヨーロッパリーグ(EL)優勝という形で成功をもたらした。しかし、アモリムは複数の角度から見ても柔軟な監督である印象だ。

 システムこそ3-4-3で固定だが、対戦相手には、自チームのスカッド事情に合わせて、配置のマイナーチェンジを繰り返すことで、攻守に戦術の幅をもたらしている。例えば、本来アモリムサッカーでは、ウイングバックに突破型の選手を配置することを好む。だからこそ最も突破力があるアマド・ディアロを右ウイングバックに配置していた。

 しかし、前線が手薄である実態や対戦相手のウイングの質を考慮して、モロッコ代表DFノゼア・マズラウィを右ウイングバックに配置して、ディアロを右シャドウに配置する形も取り入れた。この場合、守備時は初期配置通りだが、攻撃時はディアロが大外に開いて、マズラウィはシャドウのように内側でプレーしている。

 DFに前線の役割をまかすことは無謀に思えるが、そもそもマズラウィは今季トップ下でのプレーを任されたことがあるほどに、器用な選手だ。ベストな形ではないかもしれないが、現状の選択の中ではベターだと言えるだろう。

 今回は一例として右サイドの配置換えを紹介したが、アモリムはこのような微調整がとにかく多い。

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