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Jリーグ 5日前

「神戸で何かを成し遂げたとは…」FC町田ゼルビアに移った菊池流帆の本音。心を動かしたもの「一番はそこですかね」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by 藤江直人

「インパクトを残さなあかん」その真意とは

「青森山田高校から来ました菊池流帆です。よろしくお願いします」

 黒田監督を含めた周囲を笑わせた新加入選手の挨拶での第一声に込めた意図を、菊池は「順番が4人目だったので、何か違うことを言って、インパクトを残さなあかんかなと思って」と苦笑しながら振り返る。

 まったく物怖じしない性格で、神戸でも盛り上げ役を担ってきた。もっとも、周囲を笑わせようと思っているわけではなく、菊池本人も「こういうキャラクター、みたいな感じで見られるのは……」と恐縮する。それでも最初に大きなインパクトを残す立ち居振る舞いには、逃げ道をふさぐ意味も込められている。

 お調子者のムードメーカー、と見られないためにも、あえて自らにプレッシャーをかけながらプレーでも大きなインパクトを残す。菊池の場合はダヴィド・ルイスとほぼ変わらない、身長188cm体重89kgの恵まれたサイズを駆使した自陣ゴール前でのエアバトルでの勝利と、J1通算11ゴールをあげた得点力となる。

「神戸は素晴らしい選手たちが集まった日本一の軍団だったのは間違いないし、そのなかでプレーしてきた自負もある。その雰囲気をしっかりと町田さんへ、刺激として与えられたらと思っているし、チームが目標に掲げたタイトル獲得への過程で試合に出て貢献できれば、おのずと自分の成長も見られるはずなので」

 8日夜に開催されたキックオフミーティングでも、ファン・サポーターの前で「青森山田高校から加入しました」と切り出して笑いを誘い、司会者からは「ダビドリューホ」と紹介された。10人の新加入選手で、もっとも印象を残したのはむしろ望むところ。恩師が課す厳しい練習のもとで初心に帰った生粋のエアバトラーは新天地の町田で永遠のヒーロー、ダヴィド・ルイスとの距離を再び、そして雄々しく縮めようとしている。

(取材・文:藤江直人)

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