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昨季、J1制覇と天皇杯優勝を達成したヴィッセル神戸。リーグ戦においては2023シーズンに続いての連覇となり、常勝軍団への道を駆け上がっている。そんな充実した2年間を過ごすクラブの中で、菊池流帆は苦悩の日々を送っていた。そして、FC町田ゼルビアへの移籍…。菊池の心を突き動かしたものとは何なのか。(取材・文:藤江直人)
「みなさん初めまして。ダビドリューホです」
あえて逃げ道をふさいだ。年明け早々の4日に決定した王者・ヴィッセル神戸からの完全移籍。優勝争いを繰り広げたFC町田ゼルビアの一員になったDF菊池流帆は、自らの名前を明記しなかった。
町田の公式ホームページ上で、菊池はこんな第一声をファン・サポーターへ届けている。
「みなさん初めまして。ヴィッセル神戸から移籍してきたダビドリューホです」
決してジョークではない。ウケを狙ったわけでもない。チェルシーやパリ・サンジェルマン(PSG)、アーセナルでプレーした元ブラジル代表のセンターバック、ダヴィド・ルイスへ憧憬の念を抱き、いつしか師匠として尊敬してきた28歳の菊池は、大阪体育大学4年生のときから自らをダビドリューホと呼んできた。
町田が始動した8日に取材に応じた菊池は、ダビドリューホに込めてきた思いを明かした。
「自分はダヴィド・ルイスが本当に大好きで、レガースに『ダビドリューホ』と記していたくらいでした。恥ずかしかったので周囲には言わなかったんですけど、大学4年生のときに選ばれた関西大学選抜でたまたまレガースを見られて、いじられてからは自分で名乗るようにしました。(ダビドリューホの)狙いといったものは特にないですね。自分はダビドリューホなので。もうそうなっちゃっているので」
本名の「ヴィ」を「ビ」と記しているのはご愛敬。憧れの師匠の背中に少しでも近づこうと、がむしゃらに努力を積み重ねながら、下手くそだと自認する菊池は自らのサッカー人生を切り開いてきた。