FC東京に復帰しなかった本当の理由
「なかには『僕がお金で(神戸へ)動いた』などと書かれた記事もありましたけど、それはまったく逆です。僕の古巣のチームはそのとき、ブラジル人のフォワードが3人いて、当時の監督からは僕をあまり必要としない、というようなことを言われて…といったこともあったので」
古巣のチームとはいうまでもなくFC東京であり、ブラジル人のフォワードとは2021シーズンに合計で29ゴールをあげたディエゴ・オリヴェイラとアダイウトン、そしてレアンドロのトリオ。当時の長谷川健太監督(現・名古屋監督)は、シーズン途中の武藤の加入に必要性を感じなかった。
その後にMF乾貴士がセレッソ大阪、DF長友佑都がFC東京と、ともにヨーロッパから古巣へ復帰。自身への逆風が強まった経験をもつ武藤が、なぜ3年半も前の秘話を明かしたのか。武藤はこう続けた。
「そのときに僕を信頼してくれたチームとしてヴィッセルを選び、その結果として今シーズン、これだけのパワーを発揮できた。僕の力を本当に必要としてくれたチームの心が、僕をここまで駆り立ててくれた。だからこそもう一度、そういったものを大事にしながら、しっかりと決断したいと思っています」