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今季、ヴィッセル神戸のJ1リーグ連覇に貢献し、個人としてはリーグMVPを受賞するなど圧巻の活躍を披露したFW武藤嘉紀。そんな同選手の去就について注目が集まっていたが、24日、神戸との契約更新が発表された。他クラブへの移籍も有力視されていた中、なぜ神戸に残留したのか。(取材・文:藤江直人)
武藤嘉紀のヴィッセル神戸残留が決定
【写真:Getty Images】
大好きなロックバンド、Mrs. GREEN APPLEの名曲『僕のこと』の歌詞が再び蘇ってくる。
<ああ なんて素敵な日だ 幸せに悩める今日も ボロボロになれている今日も――>
ヴィッセル神戸のMF武藤嘉紀が泣きながら『僕のこと』を口ずさみ、愛車のハンドルを握っていた時期もあったと明かしたのは今月10日。史上6チーム目のJ1リーグ連覇に大きく貢献した今シーズンの活躍が評価され、MVPにあたるリーグ最優秀選手賞に初めて輝いた直後のスピーチだった。
そのときに思い出したのは、試合に絡めないどころかベンチにも入れない状況が1年近くも続き、絶望的な思いを募らせていたイングランド・プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッド時代。まさに<ボロボロに――>があてはまる日々は、神戸へ移籍した2021年8月を境目に、どん底から上向きに転じはじめた。
そして、連覇に天皇杯との二冠達成を添えて迎えたクリスマスイブ。今度は<幸せに悩める――>も終わりを告げた。今シーズン限りで契約が満了する神戸から延長オファーを、ストライカーを求める名古屋グランパスからは完全移籍のオファーを受けていたなかで、武藤が選択したのは神戸への残留だった。
神戸の公式ホームページを通じて、武藤はこんな思いをファン・サポーターへ届けている。
「多くのことを考える時間が必要でしたが、三連覇、そしてクラブの目標でもあるアジアNo.1を獲るために本気で僕を必要としてくれたヴィッセル神戸に全てを捧げる覚悟でこの決断をしました」(原文ママ)