武藤嘉紀が歩んできた茨の道「筆者自身も似た経験を持つが…」
ちょうど10年前、武藤は華々しくデビューし、FC東京で50試合に出場して23ゴールを挙げ、日本代表入りを果たした。そしてその活躍が認められ、ドイツのマインツへ移籍する。マインツではブンデスリーガ66試合で20ゴールを挙げ、さらに注目を集めた結果、2018年夏にはイングランド・プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドに加入することになった。
しかし、このニューカッスルでの時間が彼のキャリアの停滞期となった。セント・ジェームズ・パークで武藤は出場時間を得られず、プレミアリーグでの出場時間はわずか724分で、たった1ゴールにとどまった。その後、ラ・リーガのエイバルでも同じように実りが少ないものだった。
それでも、それを恥じる必要はない。これまでも世界中の選手たちがプレミアリーグでの生活に適応できず、同じような困難を経験してきたのだ。
サッカーでも人生でも、自分の限界に挑戦し、成長を目指すことは重要だ。しかし、成功するかどうかに影響を与える要因は多岐にわたる。特に日本人選手がヨーロッパに移籍する場合、異なるスタイルやレベルのサッカーへの適応に加え、新しい言語や文化、外国人としての無数のハードルを乗り越えなければならない。筆者自身も似た経験を持つが、幸運にも数千人の観衆の前で仕事をする必要はなかった。
ピッチ上でも、監督の好みに合わなかったり、ケガによる後退、自信の喪失など、些細なことが選手の状況が悪化させることもある。これが悪循環を生み出し、立ち直るのが困難になることも多い。