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コラム 1か月前

マンUにあってマンCにはなかったもの。マンチェスター・ダービーの明暗を分けた”差”【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

マンチェスター・ユナイテッドが参考にするべき前例


【写真:Getty Images】

 この劇的な逆転勝利は得点シーンがフォーカスされがちだが、マンチェスター・ユナイテッドの守備陣が2点目を取られなかったから生まれたことに他ならない。

 失点シーンはディフレクションがある不運なものだったが、それ以外にピンチを迎えたシーンは皆無。3人のCBに加えて、自陣深くで構えた場面ではマズラウィとディオゴ・ダロトも最終ラインに吸収され、5枚の堅いブロックでマンチェスター・シティの攻撃を跳ね返し続けた。

 マンチェスター・シティのエースであるアーリング・ハーランドは彼らに試合から消され続け、シュートは76分に放った1本のみ。そもそもオープンプレーからボックス内に進入を許してシュートを打たれたのは3本しかなく、いずれもDF陣がブロックしている。

 その中でも大健闘をみせたのがマグワイアだ。4バック時ではアジリティの無さが露呈するが、3バックで周りにフォローがいれば壁となり、この試合では地上戦勝率で100%(4/4)を記録。空中戦でも大半の場面でハーランドを上回り、このままレギュラーに定着しても不思議ではない鉄壁のディフェンスを披露した。

 この5枚の前では、マヌエル・ウガルテが潰し屋として奮闘。スポルティングCP時代の恩師であるアモリム監督の下で印象的なパフォーマンスを披露するウルグアイ代表MFは、高い危機察知能力と対人での強さで、何度もピンチの芽を摘んだ。

 アモリム新監督は試行錯誤を続けている段階だが、この試合を見る限りは、まずは守備を重点的に整備することが名門復活の第一歩のように感じる。前線はラッシュフォードやガルナチョら、他の強豪と比較をするとタレントの質は物足りないが、守備陣には計算できる選手が多い。

 直近で結果を残すための参考になりそうなのが2020/21シーズンのチェルシーだ。フランク・ランパード体制で守備が崩壊していたところを、2021年1月に就任したトーマス・トゥヘルが守備から立て直しを図り劇的に成績が向上。そのまま就任から半年足らずでCL優勝に導いた。

 今季のマンチェスター・ユナイテッドはUEFAヨーロッパリーグ(EL)を戦っており、プレミアリーグで4位、もしくは5位以内に入る以外にも、EL優勝をすればCL出場権を獲得することができる可能性がある。まだリーグ戦は半分も消化していないため、カップ戦1本に絞る必要はないが、どこかのタイミングで勝負を仕掛けることも必要になるかもしれない。

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