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コラム 1か月前

アーセナル、アルテタの采配は間違っていた。選手起用で優先すべきは質だけじゃない【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

質を優先する采配の弊害

アーセナルのミケル・アルテタ監督
【写真:Getty Images】

 ジョーダン・ピックフォードを中心とするエヴァートンの好守に苦しみ、なかなか点が奪えないアーセナルは69分にマイルズ・ルイス=スケリーを下げた。パーティが右SBに入り、それまで同ポジションを務めていたティンバーが左SBに回っている。

 これがチームにブレーキをかける。

 その前の選手交代でジョルジーニョが投入された時から、アーセナルはよりワイドな陣形にシフト。左ウイングに対して、スケリーがサポートしやすくなっていた。

 しかし、ティンバーが左SBに入ると、そのワイドな陣形がアーセナルを苦しめるようになる。

 幅を取った左ウイングの選手に対して、ティンバーは内側のレーンに立って“味方の動き”を待っていた。右SBでプレーしていた前半は能動的な動きで積極的にボールに触っていたのにもかかわらず、左SBではほとんど動かない。

 ティンバーからオーバーラップなどの適切なサポートを受けられなかった左ウイングは孤立し、しばしば攻撃が停滞していた。こうした結果を招くのであれば、ほぼ構想外状態であるとはいえ、サイドを直線的に駆けるキーラン・ティアニーを起用した方が攻撃に厚みが生まれたはずだ。

 過密日程による疲労に加えて、左右両サイドバックでの負傷者続出でチームは本来のリズムを崩している。このような状況では仕方がないことかもしれないが、最近のアルテタ監督は選手起用において個々の質ばかりにフォーカスしているように見えてしまう。エヴァートン戦では、特性よりも質を優先した結果がスコアレスドローを招いたのではないだろうか。

(文:竹内快)

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