「少年たちが理解できないようなことを自分は経験してきた」
「サッカーをするために故郷を離れたけど、自分の将来が家族の未来にも関わるという自覚が、責任感につながった。母はたくさん働いていて、兄は遠くにいた。そして僕は、自分の家族を背負っていた。今もそうだけどね」
サッカーに情熱を捧げる、どこにでもいる子どもだったと自身は語るが、13歳で家族の未来を委ねられ、重圧の中で生きてきた子どもは多くはない。「少年たちが、理解できないようなことを自分は経験してきた。メンタル面では本当に自分は強い。サッカーの世界にプレッシャーなど存在しない」と語る。
移民の子で、両親の離婚もあり、幾多の困難を乗り越えてきた。昨季、ユーヴェで無得点に終わったことなど意に介することではなかったようだ。
ユーヴェ下部組織に入団してからは、着実に成長を遂げ、U-15からすべてのアンダー世代のイタリア代表に招集を受け、その名を次第にイタリア全土へ轟かせることとなる。
2016年11月19日には、ペスカーラを相手にし、マッシミリアーノ・アッレグリ監督によって、ピッチに送り出され、セリエAでデビューを飾る。16歳と9カ月の若さだった。翌年3月27日のボローニャ戦ではセリエA初ゴールをマーク。FKに体を投げ出して頭で突き刺したゴール。新星のゴールに多くのファンが、ユーヴェのバンディエラとなる逸材だと思い描いたことだろう。