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コラム 1週間前

「困難に人は感謝する。なぜなら…」モイーズ・キーンはなぜ蘇ることができたのか。「本当に自分は強い」と語る理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

名門ユヴェントス加入までの経緯

 モイーズは、大聖年の2000年2月28日、トリノからは約70kmの距離にあり、ミラノのとの中間地点にある町、ピエモンテ州ヴェルチェッリで生を受けた。Moiseの名は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など多くの宗教において、最も重要な預言者の一人とされるモーセのフランス語表記だ。

 1990年にコートジボワールからイタリアに移民した両親の子で、5歳の時に両親の離婚により、母と2人の兄弟と共にヴェルチェッリから南に約60kmのアスティに転居した。幼い頃からカトリック教会に通い、路上やオラトーリオ(教会付属の児童施設)で、友人たちとサッカーに夢中になる日々を過ごした。

 本人は現在も敬虔なカトリック信者であると明かしている。今でも、友人たちと草サッカーをやりたいと切望しているが、もちろんクラブから禁止されているため、今では叶わぬことだ。

 7歳上の兄、ジョヴァンニが地元の有力クラブ、アスティに入団したことで、モイーズにも声が掛かる。7歳の時だった。その年齢でトリノのセレクションも通過。それから3年後、キーンの従兄弟、元コートジボワール代表のアブドゥライ・バンバの父の勧めもあり、ユヴェントスの門をくぐることとなった。

 そして13歳の時に、寮生活をするために家族の元を離れている。モイーズは、その頃からすでに責任を背負って生きていた。

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