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Jリーグ 1か月前

鎌田大夢の焦り、成長、そして後悔。ベガルタ仙台の背番号10「付けて良かった。でも早かった。もっと似合うように」【コラム】

シリーズ:コラム text by 小林健志 photo by Getty Images

「自分のやりたいプレーよりも…」鎌田大夢が満足できなかった理由

 試合後の鎌田は「しっかり自分たちの力を出し切って、ちゃんと負けたなっていう印象です」と試合を振り返った。「もっとゴールに向かってプレーして、シュートを打ち切るというような場面を増やしたかったですね」と語り、そうして攻撃に関わるプレーが出せなかったことを悔やんでいた。

 この1年を振り返ってもらうと「昨年に比べて守備のスライドだったり、守備の強度という部分は少し成長したかなと思います」と森山監督の要求に応えて、守備面で成長できたことをプラスに捉えていたが、「自分のやりたいプレーよりも守備を優先して意識してやっていたから試合に出られたと思いますけど、自分の色を出せればもっと良かったかなと思います」と必ずしも今季のパフォーマンスに満足はしていなかった。

 鎌田の語る「自分の色」だが、福島時代から持ち味としてよく言われていたのはドリブルだった。パス精度も高いのだが、自分でボールを運んで、相手をフェイントでかわしながら持ち上がるといったプレーもできる選手だ。確かに終盤戦レギュラーに定着することができたのだが、こうしたドリブルで運ぶ、かわすといったプレーが数多く出せていたかと言うとそうではなかった。

 もちろんそうしたプレーが今季のチームであまり求められなかったことは大きかったのかもしれないが、今の仙台のシステムの中で、もっと鎌田大夢らしさを出せていたら、何か面白い化学反応が起こったかもしれない。強度を求められる中でもここぞでドリブルを出して試合の局面を変えられれば、森山監督が試合後今季の課題として語った「攻撃のクオリティの向上」にも寄与するのかもしれない。

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