「自分のゴールよりもうれしかった」武藤嘉紀の言葉の意味
「タカ(扇原)が本当に苦しかった時期というか、なにしても本当にうまくいかなくて、ベンチにも入れなくて、それでも何ひとつ文句も言わずに努力している姿、乗り越えようとしている姿というのをやはり近くで見ていたので、あそこでタカのシュートが決まって感情が爆発したというか、自分のゴールよりもうれしかった」
後半の半ばで涙腺を決壊させた理由を、照れくさそうに明かした武藤は、43分に自らが決めた、リードを2点差に広げるキャリアハイの13ゴール目よりもうれしいと声を弾ませながらこう続けた。
「ありえないんですよ。めったにゴールを決めない選手が決めて優勝ですから。最後にゴールしたのが5年前と言っていましたから、ワールドカップの(4年に一度の)頻度よりもレアですからね」
朝食時に武藤らに冗談まじりにゴールを期待されていた扇原は、静かな口調でこう語っている。
「連覇して来シーズンはさらに難しい戦いが待っていると思いますけど、それでも優勝を目指してやるだけだと思っているので、3連覇、そしてアジアの頂点に立てるように頑張っていきたい」
2007シーズンから2009シーズンの鹿島アントラーズ以来、史上2チーム目のリーグ3連覇へ。リーグステージ東地区で3位につけて来年の戦いに入る、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)の初制覇へ。サッカー人生がかかったワンチャンスをものにして神戸の心臓に定着し、周囲を驚愕させるスーパーゴールで連覇に花を添えた扇原の視線は、さらに追われる立場となる来シーズンへすでに向けられている。
(取材・文:藤江直人)
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