「僕にとってのターニングポイントは…」
「自分自身がこうして1年間、試合に出て優勝できたのはすごくうれしいし、特にこの1週間は本当に張り詰めていたというか、プレッシャーのかかる時間でしたけど、こうしてホームで最高の雰囲気を作ってくれたなかで連覇を達成できたのは、チームにとっても僕自身にとっても本当に大きいと思っています」
充実感を漂わせながら今シーズンを振り返った扇原だが、昨シーズンはまったく違った。シーズン終盤の9月を迎えるまで、すべて途中出場でわずか4試合、109分のプレータイムにとどまっていた。
迎えた9月23日のセレッソ大阪戦を、扇原は「僕にとってのターニングポイントは、まさにそこですね」と振り返る。その前節で広島に敗れていた神戸の吉田孝行監督も、シーズンの正念場にすえていた一戦で先発に抜擢された扇原は、アンカーとしてフル出場して1-0の勝利を縁の下で支えた。
横浜から加入しながら神戸になかなかフィットできず、12試合、585分のプレータイムに終わった2022シーズンから続いていた不振を、扇原は「いや、もう実力不足でしたね」と自らへ矢印を向けた。それでも決してくさらず、いつでも試合に出られる準備だけは絶対に怠らなかった。
「あの状況で自分のコンディションのよさを見てくれて、先発に抜擢してくれたと思うので、セレッソ戦ではそれまでやってきたことを、自分にできることをやる。それだけに集中していました。セレッソ戦で勝つか負けるかで、自分のサッカー人生もまったく変わっていたといまでは思っています」
セレッソ戦を皮切りに最終節まで7試合連続で先発をゲット。その間にリーグ優勝を決めて、今シーズンへとつなげた軌跡を、扇原は湘南戦後にこう振り返った。そのすべてを盟友の武藤も間近で見ていた。