「打ちやすいボールを落としてくれた」扇原がシュートの瞬間に意識したこと
湘南陣内の深い位置で獲得したスローイン。右サイドバックの酒井高徳のロングスローを、FW佐々木大樹が頭でフリック。中央にいたFW大迫勇也が、相手に背を向けた体勢でボールを収めた直後だった。
「サコくん(大迫)が本当にシュートを打ちやすいボールを落としてくれたので、あとは枠に入れることだけを意識しました。半分はサコくんのゴールと言ってもいいくらいの優しいボールでした」
湘南のMF田中聡のプレッシャーを背後から受けながらも、扇原がワンタッチで利き足の左足を振りやすい位置へ、大迫が完璧なボールを供給する。ブロックしようと必死にスライディングタックルを見舞ったFW鈴木章斗も、懸命にダイブしたキーパー上福元直人もまったく間に合わない。
地をはうような低弾道から最後は浮きあがるように、ゴール右隅へ強烈な弾道が突き刺さる。5年4カ月ぶりに、正確には1947日ぶりに決めたJ1通算12ゴール目を扇原は笑顔で振り返った。
「いいコースへ飛んでくれてよかったし、蹴った瞬間に入った、と思いました。僕自身にとっても久しぶりの、ヴィッセルでの初ゴールをこういうタイミングで決められたのは本当にうれしいですね」