「あんな感じになるとは…」佐々木翔の涙に込められた思い
「涙もろい方ですよ。よく泣きますし。感動するドラマとかも見ないようにしてますから…」と佐々木は試合後、冗談交じりにメディアの質問をかわそうとしたが、この日ばかりは特別だったのだろう。
「ガンバの人たちとの握手までは(自分を)保てたんですけど、やっぱり背負ってるものとかね…。言ったらちょっと格好つけだし、おこがましいですけど、スタジアムに集まってくださったみなさんの力を背負って戦ってるつもりではいましたし、引退する選手たちへの思い入れも強かった。
だからこそ、優勝したかったし、チャンスがあったのに結果を出せなかった。それは非常に悔しかった。あんな感じになるとは自分でも思ってなかったですね、この歳でね」
キャプテンとして広島を頂点へと導けなかった自分自身の不完全燃焼感が大粒の涙に表れていたと言っていい。
自身もかつてキャプテンマークを巻いた青山は「(翔は)キャプテンなんで、悔しい思いがあるでしょうけど、みんなが彼を見てここまでついてきた。『最後まで胸張ってくれ』というのは伝えました。勝てずに涙するというのは僕自身も経験したことがある。それは彼らの成長につながると思います」としみじみと語っていたが、悔し涙は間違いなく選手を強くする。
青山自身も2014年FIFAワールドカップ(W杯)・ブラジル大会のコロンビア代表戦で惨敗した後、「(30歳目前の)今頃、こんな経験をするのは遅すぎる」と号泣。そこから翌2015年のJリーグMVP獲得、広島3度目のJリーグ制覇へとつなげているのだ。