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Jリーグ 2週間前

「お前には岡山でJ1へ昇格してほしい」ファジアーノ岡山、木村太哉が胸に刻み続けてきた先輩たちの思い「ようやく」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「普段の練習から常にそうなので」

「(木村)太哉ならああいう場面で、必ず足を伸ばしてくる。普段の練習から常にそうなので」

 自身のストロングポイントだと木村が自負する泥臭さや、あるいはあきらめの悪さを信じていた末吉は、すかさず右足をワンタッチさせてクロスを放つ。チーム内で事前に徹底されていた、両サイドからファーを狙ったクロス。しかし、ピッチ上を舞う風の影響からか。ボールが描く軌道がちょっとおかしい。

「ゴールに入りそうな雰囲気があったので、あの一瞬は時間がゆっくり流れるように感じていました」

 思わず苦笑した末吉の予感通りに、インスイングから放たれたボールは緩やかな弧を描きながらゴールの右隅へ吸い込まれた。末吉から「ナイスアシスト!」と感謝された木村が、レギュレーション上で引き分けてもクラブ史上初のJ1昇格が決まる岡山にもたらされた、貴重な先制点の価値を笑顔で振り返った。

「自分たちのホームで引き分けでもOKという状況で、それでも引き分け狙いで臨んでは絶対にいけないと思っていたなかで、早い時間帯に先制点を取れて、チームにもすごく勢いが出たと思う」

 チャンスが訪れればトップスピードで仙台ゴール前へ駆けあがり、ピンチと思えば我先に自陣へ戻って体を張る。ピッチ上に木村が何人もいるのかと思うほどの、縦横無尽かつ神出鬼没な動きを可能とする無尽蔵のスタミナが、決して大柄ではない身長175cm体重71kgの体に搭載されている。

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