アストン・ヴィラ(イングランド)
【写真:Getty Images】
監督:ウナイ・エメリ
リーグ成績:7勝4分4敗(6位)
今季41シーズンぶりにUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場を果たしているアストン・ヴィラも直近の1ヶ月弱で大きく調子を落としている。
10月31日に行われたカラバオ・カップ4回戦でクリスタル・パレスに敗れると、そこからトッテナム、クラブ・ブルージュ、リバプールを相手に4連敗。最終的に未勝利は8試合まで伸び、ウナイ・エメリの監督キャリアで最も勝てない日々が続いた。
この8戦未勝利のうち、敗れたのは5試合。そのうちの4試合はトッテナム、クラブ・ブルージュ、リバプール、チェルシーのアウェイゲームで、唯一のホームゲームであるクリスタル・パレス戦も主力をメンバー外とした試合だった。これらを踏まえると、「相手に分があった」と片付けることもできるかもしれない。
ただ、実際には攻守両面に大きな問題を抱えている。まずは深刻な決定力不足について紹介する。
プレミアリーグ公式サイトによると、今季のアストン・ヴィラは42回のビッグチャンスを得ているそうだ。これは首位に立つリバプール(40回)や最多得点のチェルシー(39回)を上回る数字である。
しかし、それを逃した回数も37回とトップで、その大半をユーロ2024(欧州選手権)で負った怪我の影響でスタートダッシュに失敗したエースのオリー・ワトキンスが記録している。
エースを筆頭にチーム全体が決定力不足に陥る中、11月頃からはプレミアリーグとUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の全試合で先発出場しているユーリ・ティーレマンスとモーガン・ロジャーズのパフォーマンスが低下。チームの核である彼らの中盤でのロストが増えると、貧弱な最終ラインがカウンターを防ぎきれない展開が続いた。
この攻守両面の問題が未勝利の期間は散見されたが、9試合ぶりに勝利を収めたブレントフォード戦で浮上のキッカケを掴む。それがエメリ就任1年目のラスト15試合で一度も複数失点を喫しなかったタイロン・ミングスとエズリ・コンサのCBコンビの復活だ。この2人が同時にCBで起用されたのは昨季の開幕戦以来で、大怪我から復帰したミングスがマン・オブ・ザ・マッチに輝いて勝利の立役者となった。
いわば原点回帰とも言えるやり方で勝ち星を掴むと、続く最下位サウサンプトン戦でも勝利。不調のチームに大切な自信を取り戻す連勝を契機に、再びエメリのチームは上昇気流に乗ることができるだろうか。