レッドブルがトリノのシンボルに触れるようなことがあれば…。
かつてはインザーギ兄弟を輩出し、セリエA在籍経験もあるピアチェンツァ(今季はセリエDグループD)が、一日に2度も指揮官の解任を行ったのだ。
カルミネ・パルラート監督を成績不振により解任し、シモーネ・ベンティヴォッリョを後任に任命する。するとウルトラスが、これに激しく抗議。「クルヴァ・ノルドは、ベンティヴォッリョが解任されるまで、ホームもアウェイも声援を送らない」と声明を出した。
39歳の指揮官は、バーリ時代の2011年、八百長事件に関与していたとして、13ヵ月の出場停止処分を受けている。この事件では、元ピアチェンツァのカルロ・ジェルヴァゾーニも関わり、5年の出場停止を受け、現役引退を余儀なくされた。
ジェルヴァゾーニは、主犯格の一人にベンティヴォッリョの名を挙げていたこともあり、ウルトラスは、“悪夢の事件”を思い起こさせるベンティヴォッリョの監督就任に「町への敬意がない」と強く抵抗した。
こうして、クラブは、ウルトラスの要求をあっさりと受け入れ、解任を決断。哀れなベンティヴォッリョは、一日のうちに、指揮官任命、チームの指揮、即日解任という前代未聞の解任劇にあったのだ。
クラブはウルトラスの存在を無視できない。レッドブルと同じトリノのシンボルである“雄牛”に、もし触れるようなことになれば、ウルトラスは“闘牛”と化し、怒り狂って、収拾がつかなくなるのは火を見るより明らかだ。
ここに来て、レッドブルに加え、サウジアラビアやアメリカのファンド系の企業からの関心も寄せられていることが明るみに出ている。これから具体的な話が浮上し、売却価格もさらに高くなるかもしれない。
サポーターから袋たたきにあっているカイロ政権はもはや延命状態にあるといっても過言ではない。早ければ来シーズンが開幕するときには、新しいオーナーが就任したクラブとして再スタートを切るかもしれない。
(文:佐藤徳和)
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