レジェンド青山敏弘からの言葉とは?
「本人は気持ち的に難しいかもしれないけど、いつも十分な活躍を演じてくれている。次に点を取ってくれれば何も問題はないし、僕自身、そうなるように導いていきたい」
実際に青山から、中断期間中にどのようなアプローチがあったのか。加藤の述懐を聞けば、浦和戦後とほぼ変わらない言葉でも、青山から直にかけられれば不思議な安心感が加わっていた跡が伝わってくる。
「大事なのは次、という声をかけてもらえました。次に点を取れば何の問題もない、と」
シュートを放つまでの過程を徹底的に見直し、青山からメンタル面でアシストを受けた加藤は、開始早々のゴールで呪縛から完全に解き放たれた。たとえば2−1で迎えた55分にアルスランが決めたPKは、札幌のバックパスに狙いを定め、猛然とチャージした加藤が菅野のファウルを誘ったものだ。
「バックパスは常に狙っているので、それが結果的にうまく得点につながりました。ただ、PKは僕が蹴ろうと思っていたんですけど、接触した足を痛がっていたら、もう(アルスランが)準備していて。あの状況で自分が蹴りにいくのもちょっとKYというか、雰囲気が違うと思ってやめました」
苦笑しながら舞台裏を明かした加藤は、79分にはカウンターから左サイドを駆け抜け、途中出場のFWピエロス・ソティリウの4点目をアシストした。利き足とは逆の左足でファーへ放った、グラウンダーの高速クロスを「僕自身、非常に満足できるボールでした」と会心のプレーだったと振り返った。